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財産の処分を防ぐための方法として、仮差押えおよび係争物に関する仮処分、仮の地位を定める仮処分の方法が考えられます。
仮差押えとは、金銭の支払いを目的とする債権について、強制執行ができなくなるおそれがあるとき、又は強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに仮差押命令を発し その正本に基づく仮差押執行を行うもの(民事保全法第20条、第43条第1項)になります。また、係争物に関する仮処分は、係争物の現状の変更により、債権者が権利を実行するのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに、仮処分命令を発し、その正本に基づく仮処分執行をするもの(同法第 23条第1項、第43条第1項)、仮の地位を定める仮処分は、争いがある権利関係について、債権者に生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けるために必要とされるときに、仮処分命令を発し、その正本に基づく仮処分執行をするもの(同法第23条第2項、第43条第1項)になります。
仮差押えの管轄裁判所は、本案の管轄裁判所又は仮に差押えるべき物の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属します(法第6条、第12条第1項)。もっとも、本案の訴えが特許権等に関する訴え(民訴法第6条第1項)の場合には特則があります(法第12条第2項)。申立ての理由は、保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性を具体的に記載し、かつ、立証を要する事由ごとに証拠を記載しなければなりません(規則第13条第2項)。
原則として仮に差し押さえるべき物を特定して記載しなければなりませんが、目的物が動産であるときは、その旨を記載すれば足ります(規則第19条第1項)。
一方、仮差押えを行う場合、違法な保全処分の執行によって債務者が被る可能性のある損害のために担保の提供(法第14条)が必要になります。担保の提供方法(法第4条)は、担保を立てることを命じた裁判所又は保全執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所に金銭又は裁判所が相当と認める有価証券を供託、規則で定める支払保証委託契約(ボンド)を締結する方法(規則第2条)、当事者間の特別の契約による方法により行うことが可能です。
仮差押えの要件は、金銭の支払を目的とする債権(被保全権利)について、強制執行をすることができなくなるおそれがあるとき、又は強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる(法第20条第1項)とされています。また、これらの仮差押え執行の方法は、不動産の仮差押え(法第47条)、動産の仮差押え(法第49条)債権の仮差押え(法第50条)があります。
次に、仮処分は、裁判所は仮処分命令の申立ての目的を達するため、債務者に対し一定の行為を命じ、若しくは禁止し、若しくは給付を命じ、又は保管人に目的物を保管させる処分その他の必要な処分をすることができます(法第24条)。
本案の管轄裁判所、係争物の所在地を管轄する地方裁判所の管轄を専属とします(法第6条、第12 条第1項)。申立て理由は、保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性を具体的に記載し、 かつ、立証を要する事由ごとに証拠を記載しなければなりません(規則第13条第2項)。担保の提供(法第14条)も仮差押えと同様で、違法な保全処分の執行によって債務者が被る可能性のある損害を行う必要があります。
以上の手続きについては、裁判所や供託所、執行官などに聞きながらご自身で進めることも可能ですので、お問合せしてみてはいかがでしょうか。また、手続きが遅れたことにより損害が発生することもありますので、顧問弁護士にもあらかじめご相談することをお勧め致します。